生産管理システム(MRP)がないと、製造業はどうなるか
「生産管理なんて、ベテランが段取りを組めばいいんじゃないか」
そう言う経営者は今も少なくない。ベテランが一人いれば現場は回る、確かにそれは正しい。ただ、その「ベテラン一人に依存した状態」が最大のリスクだと気づくのは、大抵何かが起きてからだ。
生産管理システム——MRP(資材所要量計画)という考え方がある。受注情報や需要予測をベースに、「いつ、何を、どれだけ」仕入れ・製造すればいいかを逆算して計算する仕組みだ。これがないと発注タイミングが担当者の経験則に委ねられ、在庫が積み上がる品目と突然欠品する品目が混在する。欠品すれば納期遅延でクレームになり、過剰在庫は資金を寝かせる。「勘と経験と度胸」の発注は、需要変動が来た瞬間に一気に破綻する。
ただ、「システムを入れれば解決する」という話ではない。多品種少量生産の会社で生産管理システムを機能させるのは難しい。品番ごとの原単位がしっかり設定されていないと計算式に乗せても意味がない。データが整っていない状態でシステムだけ入れても、現場は使わず結局Excelに戻る。
私が長年主張してきたのは「層別管理」という考え方だ。ABC分析で品番を層別し、Aランクは徹底的に管理し、Cランクは在庫で吸収する。多品種の世界でメリハリをつけないと、全部が中途半端になる。
生産管理は地味だ。誰にも気づかれない。でも、これが崩れると現場のラインが止まる。会社の「血流」を管理している仕事だと私は思っている。
