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人事制度を10年かけて作り上げた話——元自動車メーカー人事部長との勉強会

総務部長を兼任していた頃、縁があって元自動車メーカーの人事部長・監査役を務められた方に出会った。

その方に10年間、月2回のペースでレクチャーを受け続けた。計算すると200回以上のセッションになる。

内容は多岐にわたった。就業規則を含む諸規則の全面改訂から始まり、目標面談制度の設計、人事評価制度の構築、賃金制度の導入、それら全てを連動させるシステムの構築。さらに、省人化や平均勤続年数向上とセットで考える採用戦略まで学んだ。

正直に言うと、最初は何が分からないのかさえ分からない状態だった。就業規則一つとっても考えるべき視点は無数にあり、目標面談制度は「評価者のスキルを上げる」ところまでセットでないと機能しない。賃金制度は法令・市場相場・社内公平性・業績連動のバランスが肝だ。

規則を1項ずつ、数十年前に制定された社会的背景から丁寧に教わり、一つひとつを会社の実態に合わせながら10年かけて作り上げた。制度を入れて終わりでは機能しない。「箱を作るだけでは意味がない」のと同じで、運用しながら改善し続けることが大事だ。

今振り返ると、この10年のレクチャーがなければ、人事制度は「とりあえず就業規則がある」という状態のままだったと思う。それが今、会社の組織力の基盤になっている。

この方に数々教わった中で印象的な話。「部署を任されたリーダーは部下の安定を求める」が会社全体の人事を考える者は、「積極的な変化を与える事で、強い組織が作られる。」自分たちは変わらなかったとしても、世の中は物凄いスピードで変化する。その変化に対応するには自分たちも変化する事だ。ということ。

製造業の中小企業は、人事制度や人事異動を後回しにしがちだ。でも人の問題は、後から手を入れるほど難しくなる。早いうちから「自社なりの人事の軸」を作っておくことが、長期で見ると最大のコスト削減になると信じている。

株式会社アシスル 代表取締役
企業価値創造アドバイザー 滝本剛史
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